中原中也賞
第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回第8回第9回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回


第16回中原中也賞

辺見庸さんの『生首』に




 第16回「中原中也賞」には、平成21年12月1日から平成22年11月30日までに刊行された現代詩の詩集202点(うち推薦詩集6点)が寄せられました。平成23年2月12日、応募作品の中から最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、山口市湯田温泉の旅館西村屋で選考会を開催し、審議の結果、第16回中原中也賞は辺見庸さんの『生首』(毎日新聞社)に決定しました。
 受賞者には、正賞として中也と親交のあった彫刻家高田博厚(1900−1987)制作中原中也ブロンズ像と、副賞として100万円を贈呈します。第16回中原中也賞の贈呈式は4月29日(金・祝)に山口市湯田温泉のホテル松政で行います。

■受賞作品
『生首』(毎日新聞社)

■受賞者
辺見庸(埼玉県川越市在住)
 【略 歴】
1944年生 66歳(受賞時)
早稲田大学文学部卒業
1991年 『自動起床装置』(文藝春秋)〔第105回芥川賞受賞〕
1994年 『もの食う人びと』(共同通信社)〔講談社ノンフィクション賞受賞〕
2007年 辺見庸コレクション第1巻『記憶と沈黙』(毎日新聞社)

■受賞のコメント
 高名な夭逝詩人の名前を冠した賞を、流連荒亡をかさね、彼よりすでに二倍以上生きて、ここまで老いさらばえた私が頂戴するというのは、なにか道理がたたないような、筋がとおらないような想いがいたします。いつわらざる内心の声は「よせやい!」でありますし、中也も同じヤジを天国から飛ばしていることでありましょう。ただ、生きているとこんなこともあるのだな、という引き攣ったようなおどろきもなくはなく、今夜もまた埒もない詩をひとつこしらえようとおもったことです。言祝ぎ、言祝がれるのをきっぱりこばんだはずの詩集『生首』が言祝がれるとは、まことにこの世は面妖であります。

■選考経過
 公募、推薦の詩集202冊について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、高橋正英『クレピト』、塚越祐佳『越境あたまゲキジョウ』、清中愛子『宮の前キャンプからの報告』、管啓次郎『Agend’Arsアジャンダルス』、高谷和幸『ヴェジタブル・パーティ』、陶原葵『明石、時、』、辺見庸『生首』の7冊が選ばれ、本日の選考会の対象とされた。
 最終候補の7冊のうち、最後に残ったのは、ほぼ3冊だった。それは高谷和幸『ヴェジタブル・パーティ』、管啓次郎『Agend’Arsアジャンダルス』、そして、辺見庸『生首』である。高谷の詩集は、詩でしか可能にならないことばの連想やずれ、多義性、高度なユーモアが評価されたが、同時に、わたしたちの生きている世界への通路が見えないことが、不満として出された。また、管の詩集も、太古から人や動物や植物、光や風が現れてくる世界の起源に働いているエレメントを、いま、甦らそうとする壮大な展望が評価されたが、フレッシュな感覚を求める中也賞としては、保留せざるをえなかった。最後に辺見の詩集が、選考委員の支持を集めたのは、わたしたちが生きている世界のいまとここに、全存在をかけていることばの強度が並はずれていることだった。彼の詩には現代社会の腐敗し、機能不全に陥っている内臓が、鷲掴みされている臨場感がある。これまで作家、ジャーナリスト、エッセイストとして実績のある人が、詩の世界に新人として飛び込んでこられた。その意味を、わたしたちは重く受けとめたい、ということでも、選考委員の気持ちは一致した。

■最終選考作品
高橋正英(北海道)
『クレピト』(ふらんす堂)
塚越祐佳(神奈川県)
『越境あたまゲキジョウ』(思潮社)
清中愛子(神奈川県)
『宮の前キャンプからの報告』(私家版)
管啓次郎(東京都)
『Agend’Ars』(左右社)
高谷和幸(兵庫県)
『ヴェジタブル・パーティ』(思潮社)
陶原葵(東京都)
『明石、時、』(思潮社)
辺見庸(埼玉県)
『生首』(毎日新聞社)

■選考委員(五十音順)
 荒川洋治(現代詩作家)
 井坂洋子(詩人)
 北川透(詩人・梅光学院大学特任教授)
 佐々木幹郎(詩人)
 佐藤泰正(梅光学院大学客員教授)
 高橋源一郎(作家・明治学院大学教授)

■応募状況(一般応募作品196冊)
  今回の中原中也賞には、全国38都道府県の19歳から85歳までの方々から196冊の応募がありました。
 もっとも応募が多かったのは東京都の28詩集、山口県内からは3詩集(うち山口市内は無し)の応募がありました。
年代別
9歳以下
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代
80歳以上
不詳
人 数
0人
1人
19人
31人
29人
37人
51人
14人
4人
8人

第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回第8回第9回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回